Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
「町娘ふうのあの娘と、手代ふうをしたあの男とは、俺という人間を知っていて、それであのように預けたのであろうか? それとも二人は俺というものの、素性も身分も少しも知らずに、ほんの偶然に預けたのであろうか? ……誰やらに追われていたようであったが、誰に追われていたのであろう?」
群集を掻き分けてあわただしそうに、逃げて行った二人の男女の姿が、老売卜者の眼に見えて来た。
「どっちみち恐ろしい巻き奉書が、俺の手へはいったということは、天佑というよりいいようがない。有難いことだ」
老売卜者は歩いて行く。そのうなだれたぼんのくぼあたりへ、月の光が落ちていて、抜き衣紋になっている肩の形が、いかにも寂しく見受けられる。歩き方にも力がなくて、素足の踵が裾をはねて、よろめくように動くのは、心の乱れている証拠ともいえよう。帯びている大小も重そうである、羽織の裾をかかげるようにして、はみ出している鞘のひと所が、時々生白く光るのは、月の光の加減でもあろう。と、老売卜者はつぶやいた。
「佐幕党の手へは渡されない。大先生へお目にかかって、どうでもお渡ししなければならない。……死なれない死なれない死なれない!」