Japanische Klassiker mit Furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
すられた印籠
鼻が端麗だということは、斜めに受けている月光のために、際立っている陰影によって、受け取ることができそうである。
そういう若い武士が女煙術師の、二間あまりの背後に立って、煙術を眺めているのであった。
「どうもな俺には不思議だよ」ふと若い武士はつぶやいた、「どうしてあの和歌を知っているのであろう。それにどうしてあのような和歌を、ああも大っぴらに喋舌るのであろう? うっかり口に出すとあぶない和歌だ。それにさ、あの和歌はこの俺にとっては、縁故の深い和歌なのだ。おかしいなあ、どうしたのだろう!」――だがその次の瞬間には、もっとおかしな事件が起こった。
すられた印籠
そのおかしな事件というのはクルリと身を返した女煙術師が、小走りに走って来たかと思うと、ボンと若い武士へぶつかって、
「とんだ粗相をいたしました」
こういって謝ったことである。
「いや拙者こそ。……どういたしまして」
かえって気の毒だというように、若い武士は笑って挨拶をした。
「粗忽な妾でございますこと。ホッ、ホッ、ホッご免あそばせ」
女煙術師は行き過ぎた。
だがぶつかられた若い武士は、どうやらテレたらしい。