Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むすめえんじゅつし

娘煙術師

国枝 史郎

Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

不具者の片恋

「情女? へー、誰の情女なので?」

「この鴫丸めの情女なので」

とうとう金兵衛は吹き出してしまった、「ひどい目に逢えば逢うものだ。こんなことなら親切気を出して、声など決して掛けるのじゃアなかった」

仲間のお粂に逢おうという、そういう約束があったがために、車屋町の隠れ家を出て、烏丸、室町、新町、釜座、西洞院の町々を通って、千本お屋敷とご用地との間の、露路まで急いで歩いて来たところが、そういう道々を相前後して、片耳の大きな図体の男が、泣くような声を響かせて、「お妻さんお妻さん」と呼んでいるので、なんだか不思議な気持ちもしたし、またいじらしくも思われたところから、ついつい声をかけたところ、惚気を聞かされてしまったのであった。

「が、それにしてもよくしたものだ、こんな片耳の醜男にも、情女があるというのだからな」――忙しいのも打ち忘れて、金兵衛は心をノンビリとさせた。「よしよし根掘って訊いてやろう」――で金兵衛は真面目顔をして訊いた。

不具者の片恋

「いずれお妻さんという女太夫さんは、美しいお方でございましょうね」

こう加工的の真面目顔をもって、金兵衛に訊かれて鴫丸という男は、相好を崩してニタニタ笑いをしたが、