Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
私は以前から一度入って見たいと思いつつも、多少きまり悪さを感じていたのであるがこの日は思切って木戸銭を払った、なお中銭という無意味な金まで取られて穢い幕をくぐると、中には丁度洗湯位の浴槽に濁った水が溜っているのだった、わずかに五、六人の見物は黙って暗い電燈の下でその汚水を眺めていた、私もそれを眺めていたわけである、やがて印半纏を着た男が何かガンガンとたたいて、さアこれより海女の飛込と号令した、すると穢い女が二、三人次の部屋から現れてその汚水の中へ飛び込んだものだ、私は動物園を考えた。
見物人が一銭を水中へ投げると海女は巧に拾うのだ、その時海女は倒立ちとなって汚水から二本の青ざめた足を突き出した、その足の裏は萎びて、うすっぺらで不気味で、青くて、堅くて動物的で、実用で、即ち人間の立つ台の裏という感じなのであった。
私は、女の足の裏は今少し優美なものかと思っていたのだ、ところが全く厭な形相のものであった、女の足の裏がすべてこれだとすると考えものだとさえ思った、しかし世の美しい人たちの足の裏は決してかかる浅間しい形相はしていまいと考え直しても見たが、何はともあれ、私は一生涯忘れ得ぬ厭な感銘を足の裏から受けて小屋を飛び出した。