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Japanische Klassiker mit Furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

前へ座って、丁度その日は月末でもありますので、何か算盤で勘定を始めました。

私はやむなく黒い天井と仏壇の燈明を眺めながら、絹布団の中でよく寝た真似をしていましたが、私の神経は皮膚から一寸位いも飛出しているかと思う位い昂奮しているのでした。あの草鞋の裏め、一体どうするつもりかと考えると到底うっかり眠る訳にもまいりません。

そのうち、もう木辻へ通う人足も絶えた一時過ぎでした、草鞋の顔が私の鼻さきへ突然現われたのであります。

これからの対応が頗る面白いのでありますが人様の前は申難いので割愛致します。

とにかく私は全身に毒気を浴びて、くぐり戸から逃げ出しました、草鞋が追うて来ないよう戸締を固めて私は離座敷へ座ったまま神経は飛出したまま、夜の明けるのを待ちました、なるほど秋の夜は長いものだと知りました。

あの草鞋の奴め、今朝はどんな顔をしているかと思って怖る怖る母屋を眺めますと、彼女は相変らぬ顔で鏡台に向って、しかも、そりゃ聞えませぬというさわりを語っているのでありました。狐狸の類ならば忽ち姿を消す処でありますが人間はずうずうしいものであります。

当時公園の亭座敷に住む九里氏の許へ早速相談に行った処、ここへ逃げて来てはという事になり、私は荷物一切車に積んで浅茅ヶ原へとのがれました。