Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
そして決して美しいものではなかったが、悪食家にとってはいいモティフであったに違いない。
彼女は一生懸命道端の電柱へしがみついていたそうだ。あまり強情であるところから、その貸席の仲居が走って来て、なあほかの人ではないのやさかい、いいはることは聞いときなはれ、ためにならんといって、とうとう二階へ押し上げたということだった。
彼女はしかる後、老人から金子三円を頂戴に及び、その中の半分は貯金にしておけよといい渡されたそうだ。
でも一円五〇銭の貯えが出来るということはまだ幸福な方かも知れない。
時には銀行も預かってくれない因果の種を宿してみたりする。
因果の種を生んで幸福を感じた女というものはあまりたくさんはあるまい。でもまだ生む方はいいとして、生み出された因果の種自身にとっては大した迷惑である。
大体、母体の中へ初めて現れてみた時、誰一人として悦んでくれたものがなかったということは実に憐れにも張合いのないことだと思う。それは、仁木弾正が花道の穴から煙とともにせり上がってみた時、見物人が皆居眠っていたというよりも、もっと張合いのないことである。
喜んでくれるどころか、如何にしてこの種を消滅させようかとさえ考えられたりすることがあっては、一人前の魂を持ったものにとっては癪に障ることである。