Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
そして冬眠中に出来そうな仕事、例えばストーブの側で裸女を描くとか、あるいは公設市場で蔬菜静物を買い込んで来てテーブルへ並べてみるとか、あるいは子供の流感に喫驚して代診の如く体温計を持って走ってみたりなどするのである。
ところでいくら神様が造ったと称する不思議にも立派な裸女や蔬菜静物といえども、毎日毎日眺めていると食べものと同じく飽きるものである。ああ、またカボチャかと思う。こうなってはもはや、何事もおしまいである。早く春になれと思う。新鮮な風景を早く描きに出たいと考える。それで私は人一倍春を待つのである。
大体春というものはいじけているものを伸上がらせるものである。私が春に会うて伸出すと同時に冬中縮みながら考えていたところの芸術という私の一番大切な考え以外における私の体内にひそむその他のあらゆるものまでを共に伸上がらせてしまうのである。伸出すものは私ばかりではない世の中の花が揃って咲出すのである。本当の蜘蛛もそろそろ動き始める。すると汽車や電車は浮上がり伸出した人達でもってすでに一杯となっているし、往来へ出ると御馳走の嘔吐が吐き散らされているし、浪花踊が始まっていたり、芦辺踊の紅提燈がずらりとお茶屋の軒に並んでいたりするのである。