Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
だから私は自分でドライヴする道楽だけは、万一自動車の古手が一〇〇円位で手に入るとしても決してなすべきことではないと断念している。
自動車というものは軌道がないので、何となく自由な走り方をするのが好きだ、一直線でなく、人間の歩行と同じく、多少とも千鳥足で進行するところが、大変自分の心のために安楽と自由を感ぜしめる。
軌道の上に鉄の車が嵌めこまれているところの電車や汽車は直線の上を窮屈に進み、その代り安全であり安定はしているが、その安全からくる退屈さはまた格別である。
ところで自動車はむしろ、不安全と不規則と危険に満ちている。左右にゆらゆら動きながら、思っただけの速度の緩急を随時に行いつつ走るので心を束縛することがなく、気随気ままを振舞うことが出来る。気随、気ままで危険に充ちた興味を味わうことは、近代のわれわれの心を慰めるのにもっとも適当である。そしてわれわれは退屈から救われるのである。
その点、汽車に終日乗ってみると安全ではあるが、いくら欠伸をしてもし尽せない位の欠伸を催す。
私はしばしば自動車の遠乗に誘われる。その時車上の家族は主体であり、自然風景はことごとくたんなる背景となるに過ぎない。