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Japanische Klassiker mit Furigana

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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme

Aozora Bunko

さて、私の如く常に芝居の空気とその雰囲気による訓練を欠いでいる無風流な者どもが、そして毎日無風流な文化住宅とビルディングとアトリエの中をズボンと靴で立ちつくしているものたちが、時たま観劇に誘われて見ると、東京の劇場は靴のままの出入りだから幸福だが、大阪では通人のする苦労を共に楽しまねばならない。この我まんこそが芝居をよりよきものにするのだとは知りながらも、つい腹の方が先きへ立ってくるのでいけない。時代のテンポは画家という風流人を、かくも無風流にしてしまったかと、われながら、あきれるばかりである。

昨夜も久しぶりで、窮屈な桝の中へ四人の者が並んで見たが、四人の洋服は八本の足を持っているものだからその片づけ場所がないのだ。くの字に折って畳んで見たり、尻の下へ敷いて見たりまた取り出して伸ばして見たり、あるいはさすって見たり、全く持てあました。

愛人と共に過ごす幸福の一夜は、片腕の存在を悲しむという意味の唄がどこかにあったが、全く芝居では両足の存在が悲しい。帽子と共に前茶屋へ預けて来ればよかった。その窮屈の中へなお、火鉢と、みかんと、菓子と食卓と、弁当と、寿司と、酒とを押し込もうというのだ。