Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
しかし私も気にかかるので先代からの古い番頭に訊ねて見たり父に問うたりして見たが、皆はっきりしたことは知らないらしかった。番頭の音七は何んでもあんた、あれは親旦那の親旦那のその親旦那の時分によその古手を買いはったもので、その以前はやはりある薬屋の看板やったといいますというのだ。そして私の知っているのでは、島之内焼けという大火事の時に何んと火の手が、隣の豊田はんまで来た時に、急に風むきが変って、あんた妙なもんや、私とこはそのままに焼け残ったもんだす。あまりの不思議に天水香の亀が水を噴いたというてえらい評判だした。と彼は常に私に吹聴するのだった。それから、明治の始めには、ある毛唐があの亀を売ってくれといって来たという話も屡次していた。その時あの亀の目玉にはダイヤモンドがちりばめてあるのだという風評が立った。勿論、あれだけの大きな眼球がダイヤモンドであったら、私自身は今ごろ、どんな道楽息子になっていたか知れない。幸いにしてガラスであり、その中に綿が入れてあったから、私は画家位で収まっているのである。
しかし、西洋人としては、亀の眼球はどうであろうとも、ある東洋的なほりものとして、ほしがったということは事実であったことかも知れない。