Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
すると父は「この罰当りめが」と叱りつけた。母は「せっかくこしらえてやったのに、よその子を見て見なはれ、そんなきものは着てえへんやろがな」といって泣きそうな顔をした。私はその有難さはよくわかるのだが、そのよその子の常のままの姿をどんなに羨んだか知れない。
一度、それは日清戦争凱旋の時である。大阪全市が数日間踊り続けた事があった。その時私はそれこそ妙な縮緬の衣裳を着せられた。腰には紅白だんだらの帯がぶら下っていたのを覚えている。鼻の先きへは多少の白粉が施され、私の頭の上には蝋燭の点った行燈がくくり付けられ、手には団扇を持たされた上、さあ、近所へ行って見せて来いといわれた。私は日清戦争といえばすぐこの時の辛さを思い出す。私は頭へ火を点しながら団扇を持って隣家の軒下へ立って泣いていた。
この点、私は現代の子供が頗る新鮮な母親を持ち、青い上衣一枚で大威張りで飛んで行く明るい自由さを心から幸福だと考える。
それでも、なおこの現代において、私の生れた船場や島之内あたりの、最も古風が今に残されているところでは、この夏祭や正月において、私と同じ運命に出会っている子供を時々発見することがある、私は憐れに思う。