Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
しかし一月十五日頃僕はパリにいなかった、カーニュにいたということだけ辛うじて発音して、あとは無言のまま再び引退したのでした。それはいいとしてもイタリア行きはどうなるのです、その金は日本へ帰る旅費までも含まれているのですから少なからず弱りましたね。オテルへ帰ると、近火でもあったように見舞いに集まるものがあるやら騒ぎです。しかし何しろ消え去ったのが一カ月も以前のことだから金の出よう道理もありません。翌日は、フランス語の達人と正宗氏などとともに出かけて、銀行の支配人に会うて一応談判はしたが、銀行の責任にはならないという結論になって引き退がったのです。
どうだもう何もかも諦めて、せめて、イタリアの国境なりとも見に行こうかということになりまして、ある日三人ばかりの連中で、カーニュから汽車で三〇分ばかりのマントンへ向かいました。マントンは美しい古風な港です。海岸から乗合馬車に乗って、地中海を眺めながら二〇町余りを走るとそこがイタリアへの国境でした。さあよく見ておけ、ここから先きがイタリアだと連中がゴチゴチの岩山を指しました。ナルホド、イタリアかなァと思ってよく眺めました。