Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
蜘蛛といっても、けし粒ぐらいの奴から、大きいのは直径五、六寸あるのがある、笑談じゃない、それは気の迷いだろうと笑う人があるかも知れないが、事実あるのだからいたし方がない。しかしこの大蜘蛛は関東に少く関西に多いのだ。それで東京の人には説明しても了解のゆかぬ人が多い。見たことがないのだから、これをただ一目でも見て置いてくれないと私に同情が出来ないであろう。
この蜘蛛は決して巣をかけないで、天井や壁をのそりのそりと這い廻るのだ、今私は這い廻るとここへ書いたがただこう書いただけでも、このペンの先から厭な電気が私の神経の中枢へ伝わるのを感ずるくらい、むしが好かないのである。
ところでこのおそるべく厭な大蜘蛛が現われた時の、私の家庭はそれこそ殺気立つのだ、子供の時分は、さア早く来てくれ、蜘蛛や蜘蛛やと逃げ出せば、誰れかが処置をつけてくれたが、目下私が一番大人であるから、その体面上からいっても、退治るのは私の責任でまた退治るには、女中や妻君に任せておけないのだ。どうも手ぬるくていけない。ところで私がやるとすると、一生懸命でありすぎるため、しばしば狙いをはずす。