Japanische Klassiker mit Furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Lesen Sie 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) von 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.097 Zeichen · 267 Bildschirme
お爺さんはこの鳥の声がよほどお好きと見えて、『こればかりは現界ではきかれぬ声じゃ。』と御自慢をして居られました。
漸く山を降り切ったと思うと、たちまちそこに一つの大きな湖水が現われました。よほど深いものと見えまして、湛えた水は藍を流したように蒼味を帯び、水面には対岸の鬱蒼たる森林の影が、くろぐろと映って居ました。岸はどこもかしこも皆割ったような巌で、それに松、杉その他の老木が、大蛇のように垂れ下っているところは、風情が良いというよりか、寧ろもの凄く感ぜられました。
『どうじゃ、この湖水の景色は……汝は些と気に入らんであろうが……。』
『私はこんな陰気くさい所は厭でございます。でもここは何ぞ縁由 のある所でございますか?』
『ここはまだ若い、下級の竜神達の修行の場所なのじゃ。俺は時々見わりに来るので、善うこの池の勝手を知っている。何も修行じゃ、汝もここでちょっと統一をして見るがよい。沢山の竜神達の姿が見えるであろう……。』
あまり良い気持は致しませんでしたが、修行とあれば辞むこともできず、私はとある巌の上に坐って統一状態に入って見ますと、果して湖水の中は肌の色の黒っぽい、あまり品の良くない竜神さんでぎっしり填っていました。