Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.193 Zeichen · 131 Bildschirme
実にすがすがしく、軽らかに、微風が流れて来るような心持がした。硝子のうつわの横からすかして見て居ると、心に湧くものは、歌でも詩でもなく、子供のひとりごとだ。
◎
私は、家に、心ゆくばかりの話相手と云うものを持たない。
林町に生活して居た頃は、片端から母上と喋った。今はそれがない。その代り、斯うして書くことを覚えた。
◎
隣りの長屋がこわされ、あとに、新らしい家を建てる為の材木が沢山来た。子供達が、新らしい木の匂いのむせるような積重りのかげを利用してかくれんぼをして遊んで居る。ゆとりのない場所に生活して居る子供にどれほど新鮮な、活々胸を躍らせる面白さ、こわさ、広さの感覚だろう。
西洋間が建つ頃の自分の好奇心、こわさ、知りたさの戦慄を思い出し、九つの少女にかえるようだ。
子供にとって、大人の十坪は百坪の空間に感じられ、三尺の土饅頭は、一丈の小山の愉快さがある。自分の体が蟻位だったら、此世界はいかほど宏大に、壮麗に、無限に感じられることだろう。小さい黒い蟻や、蜘蛛が、人間の心で感じた世界と云うものは、よく私の空想をそそる。