Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.193 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

五月二十三日

四月十九日。鎌倉から帰って僅か十五日位にしかならない。もう自分には、苦しさが、決断すべきものが目前にあるのに、それをしない苦しさが満ちて来る。仕事も手につかない。

言葉に現してAに怒るとか、すねるとか、その域を通り越した大決意を予測させる苦しさなのだ。

もう自分の心持は二つに一つをとらなければ落付けない。

苦しさが日夜のものになった。

○

眠っても何か夢を見つづける。半睡半醒の間で、自分が嘗てしたことのない歯ぎしりをするのを、ぼんやり感じることさえある。

朝、やはり昨夜の苦しい心持を持ったまま眼を覚し、同じ部屋、又同じ一日の朝に自分を見出したのを驚く心持がある。

五月二十三日

どちらの道を採るにしろ、自分は、後に悔を残したくない。あー、あの時ああ遣るのではなかったと思う心持を残したくない。

どっち道、一生を、自分の心にある恥、悔、又は贖罪と云うような陰性の力で鼓舞されたくない。Aに従い、只義務を尽して居ると云う自認、Aを立てて居てやるのだと云う不純な焔を、裡に持って居たくない。それかと云って、熟考せずに別れ、Aの為の済まなさに心を焼かれるようなことがあってはならない。