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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

と、兄も怒気憤々として、振り向きました。

「聞きてえことがあったら、お前の気持の穏やかな時に、もう一遍出直して来う! お前から詰問される理由が、わしにはなえということなんだ」

おそらくそれは、私が生涯初めて見た怒気満面の兄の表情だったでしょう。土手の道を、薄の枯葉の蔭を、黄櫨の枯枝の向うを、やがて畑の向うを曲って行く兄の後姿をぼんやりと眺めながら私は、突っ立っていました。小肥りの身体に、田舎の紳士らしく猟虎襟の二重廻しを着けて……その後姿を眺めていると、たとえ女に騙されようと、あの朴訥な人のいい優しい兄が、どんな事情があろうと親を手にかけようとは、なんとしても私には考えられないのです。況んや母に孝行なあの孝行な兄が!

しかも私は、兄を罵ったり詰問したりするために、こんなところまで呼び出したのでは、毛頭もないのです。亮三郎には黙って置いて、せめて兄さん私だけには、腹蔵なく仰言って下さい。どんな事情があったのかは知らないが、お母さんのことは、もう仕方がない。が、兄さん貴方の身だけは、どんなことをしても私の力の限り、守らなければならないのです! と、心の中一杯に、叫んでいるのです。