Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
臨終のたのみ
夜があけると、老母は若党の八郎太をよびたてました。
わが子の無念をはらしてやりたい一心に、老いの身、盲目の身をもかえりみず、左近将監に、恨みのやいばをむけようと思いたったのです。
臨終のたのみ
しかし老母は、思いたったいちねんかたく、どうせ老人の身で一太刀むくいたがさいご、じぶんも生きてかえれぬことは、じゅうぶんに覚悟のうえですから、うわべには左近将監にゆだんさせるため、何げなくよそおいながらも、肌着類はすべてあたらしいものにとりかえ、内ぶところには竜胆寺家伝来の懐剣をふかく秘めて、朝霧をわけつつ山茶花屋敷へとむかいました。
しかし、ざんねんながらこの悲壮な老母の決心も、ついにむだにおわりました。はやりにはやった老母の願いにもかかわらず、左近将監はあってくれないのです。
「けっしてお手間はとらせません。ほんのひとめでけっこうですから、あうだけあっていただけまいか?」
と、玄関のまえに土下座せんばかりのたのみをも、
「小金吾どの、累を当家にまでおよぼす家出をせられたばかりか! 親は親で、わが子の不始末をたなにあげて、ことの一部始終をうけたまわりにまいったとは、なんたるたわごと……子も子なれば親も親……人のおもわくもいかが、早々おひきとりをねがいたいと、当家主人、火のごとくに猛りたっております」