Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
三
三
そういうふうなわけで、たださえ陰気な家の中に、またぞろこういう妙なことが起ったものですから、当分はなんともいえぬ暗い沈んだ空気で、ほとほと気の滅入るような気持でございましたが、とうとうその年の暮の商売もからっきし駄目なのでございます。
なんで取り立てた理由もないのに、こう商売が寂れてくるのか、みんなもつくづく気を腐らせてしまいましたが、普通の古着類でも捌けないのですから、まして店の真ん中に飾ってある例の蒲団なぞの売れようはずもございません。正札だけはあれから二度ばかり取り替えまして、今では五十円の値印しにしておきましたが、一度どうかした拍子に、万戸屋さんの主人が通りかかって、ふとこの蒲団に眼をつけて、
「ほほう、また大した物をお仕入れでございますな。五十円とは安い。もしなんでしたら仲間相場でなくとも札値で結構、手前の方へ譲っていただいてもよろしゅうございますが」
と言った時には、親父も厭な顔をして聞こえぬふうを装っておりました。
私には親父の気持はよくわかるのでございますが、これがわきの人から言われましたのなら、五十円が四十五円でも、こんないつ売れるともわからぬ嵩張った物なぞは疏いてしまいたかったのでございましょうが、今こちらが落ち目になりかかっているところだけに、万戸屋からこれを言われたのでは、僻み