Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
護符をわすれた座敷
ともかく博士から、十六間にちがいないときかされた和尚さんは、さっそくお経をとなえながらつごう三十二枚の護符を書いてくださるのでしょう。
さっきとりつぎにでたり、お茶をはこんできた小坊主ふたりも、和尚さんにあわせて、お経を唱和しているとみえて、奥の和尚さんの居間からは、木魚の音とともに、さびしい山寺の夕暮れにただようて、とぎれとぎれに読経の声が、きこえてまいりました。
護符をわすれた座敷
さて、心のなかでは苦笑しながらも、和尚さんのかいてくださった護符をふところにおさめてあつく和尚さんにお礼をいって、お義兄さまとともに博士は山をおりられましたが、やがてこのお義兄さまの吉浦の家へよって、屈強な若者三人ばかりをつれて、ようやくわが家のある大村の停車場へかえりつかれたのは、もう夜もだいぶふけているころでしたでしょう。
お義兄さまからわけはきかされても、まだあのおそろしい老婆をいちどもみたこともなければまたこわい思いをしたこともないこれらの漁師あがりの若者たちは、いずれもげんきいっぱい、ハチきれんばかりの勢いでした。
小さいときから海でくらして、いずれおとらぬ銅色をして、隆々たる筋肉がもりあがった命知らずの若者たちは生まれてまだこの世のなかで、おそろしいということを知りません。