Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
この本文が終ったあたりに、仏蘭西語で Se matriser avec amertume と、二つばかり書いてある。Se ma※(サーカムフレックスアクセント付きI小文字)triser avec amertume とは、「泣きながら己に打ち克つ」とでも、訳したらいいであろうか? 無意識のいたずら書きのように見えるが、仔細に眺めると、ここにも心の苦しみが、ありありと偲ばれる。
歯を食い縛ってでも、諦めねばならぬ人は諦めようという意味か? 苦しい人生は、泣きながらでも、堪えて行かなければならぬという意味か? いわん方なく人の心を打つ。
ともかくノートは、板の間の埃塗れの円柱の蔭から、積んであったルナンやパピニの基督伝の下から、蝕いだらけになって現れた。表紙も角々も食いちぎられて、鼠の糞だらけで発見されたのだから、書いてはみたものの考え直して、出すのを見合せたのではないだろうか? と、推察されるに無理はない。
が、新聞の報ずるところによれば、その中込氏の令嬢も、最近突如謎の自殺を遂げたといわれるところをもってすれば、あるいはこのノートを元とした何らかの手紙を、受取っていたのではなかろうか? と、想像される節がある。