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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

親父は馬喰町の方に宿を取っておりまして毎日、柳原、日陰町界隈の問屋筋で出物を漁っておりましたのでございますが、そう申してはなんでございますが、親父はなかなか商売の方は明かるうございまして、その時分はちょうどおかげと店も大変繁昌いたしておりましたものですから、なんでもここんところでもう一押しグンと延して一儲けせんならんと申して、その秋はことに仕入れの方も踏ん張りますつもりで出掛けてまいったのでございました。

出先から寄越す手紙にも、彦吉安心してくれ、だいぶわりのいい買物が色々できたから、この秋はかなり旨い商売ができるだろうとか、それについてはお前方にもぜひ一つ踏ん張ってもらわねばならんとか、まことに景気のいい手紙を寄越しますものですから、私どももこの秋こそは一つ腕に撚りをかけて角の万戸屋さんに負けんように儲けにゃならんと、親父の帰りを楽しみに待っていたようなわけでございました。

それに私にはまた私だけの内々の楽しみなことがございまして。……と申すのは、その翌る年の春には、かねて親どもで話のできておりました新町の油新道の三河屋の娘と――それが私のただいまの家内なのでございますが――祝言をするはずになっておりましたから、私としては店に坐っておりましても、自然と商売の方に励みの出る年だったのでございます。