Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
夜の闇はふかくて、そのすがたをたちまち博士は見うしなってしまいました。
いまのさわぎで、雇人も起きだして、寝室では、夫人が吉蔵たちにかこまれて、ガヤガヤとさわいでいました。
「だんなさま、泥棒がへえったそうでやすが、寝とりまして、いっこうにぞんじませんで、……えら、申しわけねえこんでごぜえやした」
「あなた、どこまで追ってらっしゃったの? やっぱり泥棒でしたの? どんなかっこうしてまして?」
「暗いから、よくわからなかった。追ってったんだが、雑木林のなかへにげこんじゃってね」
「夜があけやしたら、村の駐在所までしらすことにいたしやしょう。またやってくるといけねえだから」
「なあに、何かとられたわけでもないから、まあ、いいさ。さ、みんなも寝なさい。……どうせコソ泥棒だ、もうきもせんだろう」
と、なにげない体に博士は、あの老婆のことはひとことも口にされませんでした。こんな真夜中に、あの老婆がしのびこんできたなどと話したら、女たちが、またどんなさわぎをするかと、それをけねんされたからなのです。
「あら、あなたの寝巻に血が……、まァ……手の甲から血がたれて……どうなさったの?」