Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
ても、とうていとりさることのできぬ人間のあぶらだけは、ウッスラとそこに消えのこって、無念の歯がみをしている花のような若さまのたましいが、なおこの部屋のなかにさまよっていることを、気づいたであろうと思われます。
「よいか、わかったな家の一大事、父が身の破滅にもおよぶことなれば、かまえてそちは、けっして人にもらすでないぞ! 殿ご帰国のあかつきには、殿のご前態は、父よりよしなに申しあぐる。そちはただ、人にもらしさえせねばいいのじゃ、わかったな、わかったか?」
と、けわしい目をして、左近将監は新之丞に、むりおしに念をおしております。
「身分たかき家柄とはいえ、あまりと申せば小童めが、家柄を鼻にかけて増長しおるからじゃ。いわば小童が、みずからまねいた自業自得というべきところなのじゃ。江戸表におらるる殿にかわって、父が成敗いたしてくれたようなわけなのじゃ。あんな小童を、あわれむところなどは、いささかもないわい! わかったな? 新之丞、わかったらそちはただ、口をつぐんでおれば、それでよろしいのじゃ!」
あんどんの影はほのぐらく、じぶんのいいことばかりをならべたてている左近将監の声は、ボソボソといつまでもつづいておりますが、うなずいている新之丞の顔は、父から秘密をあかされて、一刻ごとに血の気がひいていくように思われます。