Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
ただ目ばかりすごい底光りをはなっているのです。
と、いうことになりますと、おや! とみなさまはびっくりなさるかもしれません。お小姓街道を走っていた八重が、思いなおしてまた左近将監の邸へかえってきたのかとお思いになるかもしれません。
しかし、ほんものの八重ならば、いまたしかに息を切らせてお小姓街道を、村のほうへとひた走りに走っているところです。殺されるとわかっている恐ろしい邸へなど、どうしてかえってくるわけがありましょう。しかも、いまたたずんでいる八重はかたちもきものも、ほんものの八重と寸分のちがいもありませんが、ただ目の光だけがまったくちがいます。ほんものの八重は、けっしてこんなすごい目つきはしないのです。
「お八重さま、どうしなすっただかね? えらくだまって、こわい顔をして……」
とお稲がふたたび声をかけたとき、はじめて八重が口をひらきました。
「人にきかれるとたいへんなことになる。もっとそばへおより!」
「おら、なんだか、今夜のおまえさまはこわいような気がするだなァ」
と山だしのお稲は薄気味悪そうな声をだしました。
「なにもこわいことはありません。もっとそばへおより!……人にきかれたらたいへんだから」