Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
スグ畳一枚上には老母にばけた曲者がねむっているのですから、佐平治は声をだすわけにはいきません。つくばいながら、だまってしきりにうなずいております。
「よいか、かならずかならず、けどられぬよう心して掘れよ」
そして縁の下ふかくしのびこんでいった佐平治を見ると、将監は刀のつかに手をかけたまま、暗黒の闇の八方にするどい目をくばっています。いまにもあれ、雨戸をけやぶって老母がおどりだしてきたら、抜き討ちにパッサリと斬りつけんばかりの身がまえです。
そして、はく息、すう息にすら心して佐平治は縁の奥ふかくはいこみ、刀をかまえたまま左近将監は、闇のなかへするどい目をひからせてたたずんでいます。
風もなく木の葉のそよぐ音ひとつきこえてはまいりません。御城下に遠いこのへんの武家屋敷はみんな星空の下にとけこんだように、しずかなねむりについて、さすがの曲者もなんにも知らずにスヤスヤと眠りにふけっているのでしょうか、家のなかは、ひっそりとしずまりかえって、コトリとの物音もきこえてはまいりません。
一刻……二刻……ときはしずかにすぎていきましたが、やがてたたずんでいる左近将監の足許へ手で提灯をかこいながら、ゴソゴソとはいよってきたものがありました。