Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
どこそこのお医者さんへおかかりなさい、こちらからそのひきつぎをしてあげますからと、いちいちねんごろに閉鎖後のしまつまでつけていられるのですから、午後の二時になっても三時になっても、つめかけている患者の半分のしまつがつかなかったのも、むりはありませんでしたでしょう。
こうして博士はもちろん、看護婦たちも、食事もとらずに診察室で、いそがしく立ちはたらいていましたが、そのあいだにおびただしい家財家具類は、吉蔵や吉浦から手つだいにきた例の三人の若者たちによって、縄をかけられて、だんだんトラックにつみあげられていました。奥のほうは、まるで戦場のような混雑ぶりだったのです。
そしてきょうあすと、トラックを吉浦へかよわせれば、あすの晩までにはもうこの家も、ひっこすことができるだろうと思われましたが、このすさまじい事件のおこったのは、ちょうど家のなかがそういう、大混雑のまっさいちゅうではなかったかと思われます。
しかもいまになって考えれば、この執念深い怪猫の怨霊は、すでに博士一家の退散のけはいを感づいて、いちはやく夫人の頼子の上へ、そのくらい手をさしのべていたのかもしれませんが、ともかく午後の四時ごろだったのです。