Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
ガタンと言っても、肝を冷し、ミシリと言っても縮こまり、初夏の蒸し暑い夜を被れるだけ蒲団を被って、縮こまれるだけ縮こまって、私は蒲団の中に顫えていた。
昨日までのあの墓場の中を逍遥した自分の気持を考えると、とうていそれがこの私自身であるとは、どうしても考えられなかった。まるで別人のような気持がしてくるのであった。今の私にそれだけの勇気なぞはもうとてもありようはずはない。せめて死んだ人たちの冥福を祈るために、起きて線香でも火鉢の中に燻べておこうと思いながらそれすらも私にはもうでき得なかった。蒲団から手を出した途端にスウッと冷っこいものが襟もとからでも触れてくるような気持がして、サヤサヤと萱の上を渡る淋しい風の音ばかりが絶えず耳についてくるのであった。
やっと一番鶏の声も聞え、二番鶏の声も聞え、続いて三番鶏の声も聞えて雨戸の隙間から白々とした暁の光が射し込んで来た時には、私はしみじみと太陽と無心の鶏とに感謝を捧げたいような気持であった。
もちろん夜が明けると同時に、私は朝飯も何もあったものではなかった。後方から追駈けられるような慌しさを感じながら、さっそく長い間の逗子の生活を切り上げる仕度に取りかかった。