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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

健三は時々宅へ話しに来る青年と対坐して、晴々しい彼らの様子と自分の内面生活とを対照し始めるようになった。すると彼の眼に映ずる青年は、みんな前ばかり見詰めて、愉快に先へ先へと歩いて行くように見えた。

或日彼はその青年の一人に向ってこういった。

「君らは幸福だ。卒業したら何になろうとか、何をしようとか、そんな事ばかり考えているんだから」

青年は苦笑した。そうして答えた。

「それは貴方がた時代の事でしょう。今の青年はそれほど呑気でもありません。何になろうとか、何をしようとか思わない事は無論ないでしょうけれども、世の中が、そう自分の思い通りにならない事もまた能く承知していますから」

なるほど彼の卒業した時代に比べると、世間は十倍も世知辛くなっていた。しかしそれは衣食住に関する物質的の問題に過ぎなかった。従って青年の答には彼の思わくと多少喰い違った点があった。

「いや君らは僕のように過去に煩らわされないから仕合せだというのさ」

青年は解しがたいという顔をした。

「あなただって些とも過去に煩らわされているようには見えませんよ。やっぱり己の世界はこれからだという所があるようですね」