Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

「可哀想ね今から脊髄病なんぞに罹っちゃ。まだ若いんでしょう」

「己より一つ上だって話したじゃないか」

「子供はあるの」

「何でも沢山あるような様子だ。幾人だか能く訊いて見ないが」

細君は成人しない多くの子供を後へ遺して死にに行く、まだ四十に充たない夫人の心持を想像に描いた。間近に逼ったわが産の結果も新たに気遣われ始めた。重そうな腹を眼の前に見ながら、それほど心配もしてくれない男の気分が、情なくもありまた羨ましくもあった。夫はまるで気が付かなかった。

「島田がそんな心配をするのも必竟は平生が悪いからなんだろうよ。何でも嫌われているらしいんだ。島田にいわせると、その柴野という男が酒食いで喧嘩早くって、それで何時まで経っても出世が出来なくって、仕方がないんだそうだけれども、どうもそればかりじゃないらしい。やっぱり島田の方が愛想を尽かされているに違ないんだ」

「愛想を尽かされなくったって、そんなに子供が沢山あっちゃどうする事も出来ないでしょう」

「そうさ。軍人だから大方己と同じように貧乏しているんだろうよ」

「一体あの人はどうしてその御藤さんて人と――」

細君は少し躊躇した。