Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
それは彼女のためでもあり、また自分のためでもあった。
彼は彼女から今までの経歴をあらまし聞き取った。その間には人世と切り離す事の出来ない多少の不幸が相応に纏綿しているらしく見えた。
島田と別れてから二度目に嫁づいた波多野と彼女との間にも子が生れなかったので、二人は或所から養女を貰って、それを育てる事にした。波多野が死んで何年目にか、あるいはまだ生きている時分にか、それは御常もいわなかったが、その貰い娘に養子が来たのである。
養子の商売は酒屋であった。店は東京のうちでも随分繁華な所にあった。どの位な程度の活計をしていたものか能く分らないが、困ったとか、窮したとかいう弱い言葉は御常の口を洩れなかった。
その内養子が戦争に出て死んだので、女だけでは店が持ち切れなくなった。親子はやむをえずそれを畳んで、郊外近くに住んでいる或身縁を頼りに、ずっと辺鄙な所へ引越した。其所で娘に二度目の夫が出来るまでは、死んだ養子の遺族へ毎年下がる扶助料だけで活計を立てて行った。……
御常の物語りは健三の予期に反してむしろ平静であった。誇張した身ぶりだの、仰山な言葉遣だの、当込の台詞だのは、それほど多く出て来なかった。