Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
「そうしたいのは山々なんでしょうけれども、やッぱりそうは出来ないんでしょう」
健三は時々兄が死んだあとの家族を、ただ活計の方面からのみ眺める事があった。彼はそれを残酷ながら自然の眺め方として許していた。同時にそういう観察から逃れる事の出来ない自分に対して一種の不快を感じた。彼は苦い塩を嘗めた。
「死にやしまいな」
「まさか」
細君は取り合わなかった。彼女はただ自分の大きな腹を持て余してばかりいた。生家と縁故のある産婆が、遠い所から俥に乗って時々遣て来た。彼はその産婆が何をしに来て、また何をして帰って行くのか全く知らなかった。
「腹でも揉むのかい」
「まあそうです」
細君ははかばかしい返事さえしなかった。
その内兄の熱がころりと除れた。
「御祈祷をなすったんですって」
迷信家の細君は加持、祈祷、占い、神信心、大抵の事を好いていた。
「御前が勧めたんだろう」
「いいえそれが私なんぞの知らない妙な御祈祷なのよ。何でも髪剃を頭の上へ載せて遣るんですって」
健三には髪剃の御蔭で、しこじらした体熱が除れようとも思えなかった。
「気のせいで熱が出るんだから、気のせいでそれがまた直除れるんだろうよ。