Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
六十七
彼は活動を強いる勇気も自信も失なった。
「私とても御見舞には参れませんよ」
「無論御前は行かなくっても好い。己が行くから」
六十七
その頃の健三は宅へ帰ると甚しい倦怠を感じた。ただ仕事をした結果とばかりは考えられないこの疲労が、一層彼を出不精にした。彼はよく昼寐をした。机に倚って書物を眼の前に開けている時ですら、睡魔に襲われる事がしばしばあった。愕然として仮寐の夢から覚めた時、失われた時間を取り返さなければならないという感じが一層強く彼を刺撃した。彼は遂に机の前を離れる事が出来なくなった。括り付けられた人のように書斎に凝としていた。彼の良心はいくら勉強が出来なくっても、いくら愚図々々していても、そういう風に凝と坐っていろと彼に命令するのである。
かくして四、五日は徒らに過ぎた。健三が漸く津の守坂へ出掛けた時は六ずかしいかも知れないといった姉が、もう回復期に向っていた。
「まあ結構です」
彼は尋常の挨拶をした。けれども腹の中では狐にでも抓まれたような気がした。
「ああ、でも御蔭さまでね。――姉さんなんざあ、生きていたってどうせ他の厄介になるばかりで何の役にも立たないんだから、好い加減な時分に死ぬと丁度好いんだけれども、やっぱり持って生れた寿命だと見えてこればかりは仕方がない」