Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
姉は自分のいう裏を健三から聴きたい様子であった。しかし彼は黙って烟草を吹かしていた。こんな些細の点にも姉弟の気風の相違は現われた。
「でも比田のいるうちは、いくら病身でも無能でも私が生きていて遣らないと困るからね」
親類は亭主孝行という名で姉を評し合っていた。それは女房の心尽しなどに対して余りに無頓着過ぎる比田を一方に置いてこの姉の態度を見ると、むしろ気の毒な位親切だったからである。
「私ゃ本当に損な生れ付でね。良人とはまるであべこべなんだから」
姉の夫思いは全く天性に違なかった。けれども比田が時として理の徹らない我儘をいい募るように、彼女は訳の解らない実意立をしてかえって夫を厭がらせる事があった。それに彼女は縫針の道を心得ていなかった。手習をさせても遊芸を仕込んでも何一つ覚える事の出来なかった彼女は、嫁に来てから今日まで、ついぞ夫の着物一枚縫った例がなかった。それでいて彼女は人一倍勝気な女であった。子供の時分強情を張った罰として土蔵の中に押し込められた時、小用に行きたいから是非出してくれ、もし出さなければ倉の中で用を足すが好いかといって、網戸の内外で母と論判をした話はいまだに健三の耳に残っていた。