Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
七十一
健三の謎は容易に解けなかった。考える事の嫌な細君はまた何という評も加えなかった。
「しかし己たち夫婦も世間から見れば随分変ってるんだから、そう他の事ばかりとやかくいっちゃいられないかも知れない」
「やっぱり同なじ事ですわ。みんな自分だけは好いと思ってるんだから」
健三はすぐ癪に障った。
「御前でも自分じゃ好いつもりでいるのかい」
「いますとも。貴夫が好いと思っていらっしゃる通りに」
彼らの争いは能くこういう所から起った。そうして折角穏やかに静まっている双方の心を攪き乱した。健三はそれを慎みの足りない細君の責に帰した。細君はまた偏窟で強情な夫のせいだとばかり解釈した。
「字が書けなくっても、裁縫が出来なくっても、やっぱり姉のような亭主孝行な女の方が己は好きだ」
「今時そんな女がどこの国にいるもんですか」
細君の言葉の奥には、男ほど手前勝手なものはないという大きな反感が横わっていた。
七十一
筋道の通った頭を有っていない彼女には存外新らしい点があった。彼女は形式的な昔風の倫理観に囚われるほど厳重な家庭に人とならなかった。政治家を以て任じていた彼女の父は、教育に関して殆んど無定見であった。