Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
「如何にも苦しいだろう」
健三はこの一念に制せられた。そうして彼の持ち来した金策談に耳を傾むけた。けれども好い顔はし得なかった。心のうちでは好い顔をし得ないその自分を呪っていた。
「金の話だから好い顔が出来ないんじゃない。金とは独立した不愉快のために好い顔が出来ないのです。誤解してはいけません。私はこんな場合に敵討をするような卑怯な人間とは違ます」
細君の父の前にこれだけの弁解がしたくって堪らなかった健三は、黙って誤解の危険を冒すより外に仕方がなかった。
このぶっきら棒な健三に比べると、細君の父はよほど鄭寧であった。また落付いていた。傍から見れば遥に紳士らしかった。
彼は或人の名を挙げた。
「向うでは貴方を知ってるといいますが、貴方も知ってるんでしょうね」
「知っています」
健三は昔し学校にいた時分にその男を知っていた。けれども深い交際はなかった。卒業して独乙へ行って帰って来たら、急に職業がえをして或大きな銀行へ入ったとか人の噂に聞いた位より外に、彼の消息は健三に伝わっていなかった。
「まだ銀行にいるんですか」
細君の父は点頭いた。しかし二人がどこでどう知り合になったのか、健三には想像さえ付かなかった。