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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

八十

不安そうに苦い顔をしていた彼が、産婆から少し手を貸してくれといわれて産室へ入った時、彼女は骨に応えるような恐ろしい力でいきなり健三の腕に獅噛み付いた。そうして拷問でもされる人のように唸った。彼は自分の細君が身体の上に受けつつある苦痛を精神的に感じた。自分が罪人ではないかという気さえした。

「産をするのも苦しいだろうが、それを見ているのも辛いものだぜ」

「じゃどこかへ遊びにでもいらっしゃいな」

「一人で生めるかい」

細君は何とも答えなかった。夫が外国へ行っている留守に、次の娘を生んだ時の事などはまるで口にしなかった。健三も訊いて見ようとは思わなかった。生れ付心配性な彼は、細君の唸り声を余所にして、ぶらぶら外を歩いていられるような男ではなかった。

産婆が次に顔を出した時、彼は念を押した。

「一週間以内かね」

「いえもう少し後でしょう」

健三も細君もその気でいた。

八十

日取が狂って予期より早く産気づいた細君は、苦しそうな声を出して、傍に寐ている夫の夢を驚ろかした。

「先刻から急に御腹が痛み出して……」

「もう出そうなのかい」

健三にはどの位な程度で細君の腹が痛んでいるのか分らなかった。