Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
顋の短かい眼の大きなその子は、海坊主の化物のような風をして、其所いらをうろうろしていた。
三番目の子だけが器量好く育とうとは親の慾目にも思えなかった。
「ああいうものが続々生れて来て、必竟どうするんだろう」
彼は親らしくもない感想を起した。その中には、子供ばかりではない、こういう自分や自分の細君なども、必竟どうするんだろうという意味も朧気に交っていた。
彼は外へ出る前にちょっと寝室へ顔を出した。細君は洗い立てのシーツの上に穏かに寐ていた。子供も小さい附属物のように、厚い綿の入った新調の夜具蒲団に包まれたまま、傍に置いてあった。その子供は赤い顔をしていた。昨夜暗闇で彼の手に触れた寒天のような肉塊とは全く感じの違うものであった。
一切も綺麗に始末されていた。其所いらには汚れ物の影さえ見えなかった。夜来の記憶は跡方もない夢らしく見えた。彼は産婆の方を向いた。
「蒲団は換えて遣ったのかい」
「ええ、蒲団も敷布も換えて上げました」
「よくこう早く片付けられるもんだね」
産婆は笑うだけであった。若い時から独身で通して来たこの女の声や態度はどことなく男らしかった。
「貴夫がむやみに脱脂綿を使って御しまいになったものだから、足りなくって大変困りましたよ」