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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

八十二

「そうだろう。随分驚ろいたからね」

こう答えながら健三は大して気の毒な思いもしなかった。それよりも多量に血を失なって蒼い顔をしている細君の方が懸念の種になった。

「どうだ」

細君は微かに眼を開けて、枕の上で軽く肯ずいた。健三はそのまま外へ出た。

例刻に帰った時、彼は洋服のままでまた細君の枕元に坐った。

「どうだ」

しかし細君はもう肯ずかなかった。

「何だか変なようです」

彼女の顔は今朝見た折と違って熱で火照っていた。

「心持が悪いのかい」

「ええ」

「産婆を呼びに遣ろうか」

「もう来るでしょう」

産婆は来るはずになっていた。

八十二

やがて細君の腋の下に験温器が宛がわれた。

「熱が少し出ましたね」

産婆はこういって度盛の柱の中に上った水銀を振り落した。彼女は比較的言葉寡なであった。用心のため産科の医者を呼んで診てもらったらどうだという相談さえせずに帰ってしまった。

「大丈夫なのかな」

「どうですか」

健三は全くの無知識であった。熱さえ出ればすぐ産褥熱じゃなかろうかという危惧の念を起した。母から掛り付けて来た産婆に信頼している細君の方がかえって平気であった。

「どうですかって、御前の身体じゃないか」