Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
日が重なっても彼は赤ん坊を抱いて見る気にならなかった。それでいて一つ室に塊っている子供と細君とを見ると、時々別な心持を起した。
「女は子供を専領してしまうものだね」
細君は驚ろいた顔をして夫を見返した。其所には自分が今まで無自覚で実行して来た事を、夫の言葉で突然悟らされたような趣もあった。
「何で藪から棒にそんな事を仰ゃるの」
「だってそうじゃないか。女はそれで気に入らない亭主に敵討をするつもりなんだろう」
「馬鹿を仰ゃい。子供が私の傍へばかり寄り付くのは、貴夫が構い付けて御遣りなさらないからです」
「己を構い付けなくさせたものは、取も直さず御前だろう」
「どうでも勝手になさい。何ぞというと僻みばかりいって。どうせ口の達者な貴夫には敵いませんから」
健三はむしろ真面目であった。僻みとも口巧者とも思わなかった。
「女は策略が好きだからいけない」
細君は床の上で寐返りをしてあちらを向いた。そうして涙をぽたぽたと枕の上に落した。
「そんなに何も私を虐めなくっても……」
細君の様子を見ていた子供はすぐ泣き出しそうにした。健三の胸は重苦しくなった。彼は征服されると知りながらも、まだ産褥を離れ得ない彼女の前に慰藉の言葉を並べなければならなかった。