Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
八十六
「つまり己の金で己が買ったと同じ事になるんだからな」
「でも貴夫に対する義理だと思っていらっしゃるんだから仕方がありませんわ」
姉は世間でいう義理を克明に守り過ぎる女であった。他から物を貰えばきっとそれ以上のものを贈り返そうとして苦しがった。
「どうも困るね、そう義理々々って、何が義理だかさっぱり解りゃしない。そんな形式的な事をするより、自分の小遣を比田に借りられないような用心でもする方がよっぽど増しだ」
こんな事に掛けると存外無神経な細君は、強いて姉を弁護しようともしなかった。
「今にまた何か御礼をしますからそれで好いでしょう」
他を訪問する時に殆んど土産ものを持参した例のない健三は、それでもまだ不審そうに細君の膝の上にあるめりんすを見詰めていた。
八十六
「だから元は御姉さんの所へ皆なが色んな物を持って来たんですって」
細君は健三の顔を見て突然こんな事をいい出した。――
「十のものには十五の返しをなさる御姉さんの気性を知ってるもんだから、皆なその御礼を目的に何か呉れるんだそうですよ」
「十のものに十五の返しをするったって、高が五十銭が七十五銭になるだけじゃないか」