Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

「ええ御蔭さまで身体の方はまことに丈夫で御座います」

「そりゃ結構です」

「その代り身上の方はただ痩せる一方で」

健三には老後になってからこうむくむく肥る人の健康が疑がわれた。少なくとも不自然に思われた。どこか不気味に見えるところもあった。

「酒でも飲むんじゃなかろうか」

こんな推察さえ彼の胸を横切った。

御常の肌身に着けているものは悉とく古びていた。幾度水を潜ったか分らないその着物なり羽織なりは、どこかに絹の光が残っているようで、また変にごつごつしていた。ただどんなに時代を食っても、綺麗に洗張が出来ている所に彼女の気性が見えるだけであった。健三は丸いながら如何にも窮屈そうなその人の姿を眺めて、彼女の生活状態と彼女の口に距離のない事を知った。

「どこを見ても困る人だらけで弱りますね」

「こちらなどが困っていらしっちゃあ、世の中に困らないものは一人も御座いません」

健三は弁解する気にさえならなかった。彼はすぐ考えた。

「この人は己を自分より金持と思っているように、己を自分より丈夫だとも思っているのだろう」

近頃の健三は実際健康を損なっていた。それを自覚しつつ彼は医者にも診てもらわなかった。