Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
十四
平生よりは遅くなって漸く夕食の食卓に着いた時、彼は始めて細君と言葉を換わした。
「先刻来た吉田って男は一体何なんですか」と細君が訊いた。
「元高崎で陸軍の用達か何かしていたんだそうだ」と健三が答えた。
問答は固よりそれだけで尽きるはずがなかった。彼女は吉田と柴野との関係やら、彼と島田との間柄やらについて、自分に納得の行くまで夫から説明を求めようとした。
「どうせ御金か何か呉れっていうんでしょう」
「まあそうだ」
「それで貴方どうなすって、――どうせ御断りになったでしょうね」
「うん、断った。断るより外に仕方がないからな」
二人は腹の中で、自分らの家の経済状態を別々に考えた。月々支出している、また支出しなければならない金額は、彼に取って随分苦しい労力の報酬であると同時に、それで凡てを賄って行く細君に取っても、少しも裕なものとはいわれなかった。
十四
健三はそれぎり座を立とうとした。しかし細君にはまだ訊きたい事が残っていた。
「それで素直に帰って行ったんですか、あの男は。少し変ね」
「だって断られれば仕方がないじゃないか。喧嘩をする訳にも行かないんだから」
「だけど、また来るんでしょう。