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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし老人は一向そんな事に頓着する様子も見えなかった。迷惑そうな健三の体を見ても澄ましていた。しまいに吉田が例の烟草入を腰へ差して、「では今日はこれで御暇を致す事にしましょうか」と催促したので、彼は漸く帰る気になったらしかった。

二人を送り出してまたちょっと座敷へ戻った健三は、再び座蒲団の上に坐ったまま、腕組をして考えた。

「一体何のために来たのだろう。これじゃ他を厭がらせに来るのと同じ事だ。あれで向は面白いのだろうか」

彼の前には先刻島田の持って来た手土産がそのまま置いてあった。彼はぼんやりその粗末な菓子折を眺めた。

何にもいわずに茶碗だの烟草盆を片付け始めた細君は、しまいに黙って坐っている彼の前に立った。

「あなたまだ其処に坐っていらっしゃるんですか」

「いやもう立っても好い」

健三はすぐ立上ろうとした。

「あの人たちはまた来るんでしょうか」

「来るかも知れない」

彼はこう言い放ったまま、また書斎へ入った。一しきり箒で座敷を掃く音が聞えた。それが済むと、菓子折を奪り合う子供の声がした。凡てがやがて静になったと思う頃、黄昏の空からまた雨が落ちて来た。健三は買おう買おうと思いながら、ついまだ買わずにいるオヴァーシューの事を思い出した。