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Japanische Klassiker mit Furigana

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みちくさ

道草

夏目 漱石

Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme

Aozora Bunko

二十五

その咳嗽は一つがまだ済まないうちに、後から後から仕切りなしに出て来るので、傍で見ていても気が退けた。

「苦しそうだな」

彼は独り言のようにこう囁やいて、眉を顰めた。

見馴れない四十恰好の女が、姉の後から脊中を撫っている傍に、一本の杉箸を添えた水飴の入物が盆の上に載せてあった。女は健三に会釈した。

「どうも一昨日からね、あなた」

姉はこうして三日も四日も不眠絶食の姿で衰ろえて行ったあと、また活作用の弾力で、じりじり元へ戻るのを、年来の習慣としていた。それを知らない健三ではなかったが、目前この猛烈な咳嗽と消え入るような呼息遣とを見ていると、病気に罹った当人よりも自分の方がかえって不安で堪らなくなった。

「口を利こうとすると咳嗽を誘い出すのでしょう。静かにしていらっしゃい。私はあっちへ行くから」

発作の一仕切収まった時、健三はこういって、またもとの座敷へ帰った。

二十五

比田は平気な顔をして本を読んでいた。「いえなにまた例の持病ですから」といって、健三の慰問にはまるで取り合わなかった。同じ事を年に何度となく繰り返して行くうちに、自然と末枯れて来る気の毒な女房の姿は、この男にとって毫も感傷の種にならないように見えた。