Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
三十六
「今日は待ってて例の事件を話して行かなくっちゃあ、……」
兄はまだその後をいおうとした。細君はふいと立って茶の間へ時計を見に這入った。其所から出て来た時、彼女はこの間の書類を手にしていた。
「これが要るんでしょう」
「いえそれはただ参考までに持って来たんだから、多分要るまい。もう健三に見せてくれたんでしょう」
「ええ見せました」
「何といってたかね」
細君は何とも答えようがなかった。
「随分沢山色々な書付が這入っていますわね。この中には」
「御父さんが、今に何か事があるといけないって、丹念に取って置いたんだから」
細君は夫から頼まれてその中の最も大切らしい一部分を彼のために代読した事はいわなかった。兄もそれぎり書類について語らなくなった。二人は健三の帰るまでの時間をただの雑談に費やした。その健三は約三十分ほどして帰って来た。
三十六
彼が何時もの通り服装を改めて座敷へ出た時、赤と白と撚り合せた細い糸で括られた例の書類は兄の膝の上にあった。
「先達ては」
兄は油気の抜けた指先で、一度解きかけた糸の結び目を元の通りに締めた。
「今ちょっと見たらこの中には君に不必要なものが紛れ込んでいるね」