Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
俺にはそんな気がしてならねえ、――お茶屋へ始めて来たような浅黄裏が、女中に一分の祝儀は出来すぎているぜ。ね、番頭さん」
「ヘエ――」
「寺はどこだろう」
「根岸の寺とおっしゃっただけで、もっとも――早く行かなきゃ、御墓所の門が閉る――ともおっしゃったようで」
「墓場に門のある寺というのは、根岸に幾つもあるわけはねえ。行ってみようか、八」
「ヘエ――」
驚いたのは八五郎でした。谷中でさんざん揉まれた上、これから根岸へ行っては、亥刻(十時)過ぎになってしまいます。
「番頭さん、その武家の羽織の紋を覚えちゃいないか、係りの姐さんに訊いて下さい」
間もなく番頭は女中を一人伴れて来ました。一分の祝儀が利いているせいか、これが思いの外いろいろの事を知っております。
「御召物は粗末な紬で、御羽織は少し山が入っていましたが立派な羽二重でございました。御紋は丸に二つ引、御腰の物の拵えも、大変御粗末でしたが、御人柄は立派で、少し厳つい方でございました。御酒は手酌のグイ呑みを遊ばして、お肴にはろくに手もお付けになりません。お言葉は江戸でお国侍ではなかったようですが、本当に、お固い、言わば野暮なお方で、お茶屋へなどは滅多にいらっしゃる方のようではございませんでした」