Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
三
「それも考えましたよ、が、中仕切が低くて相手の顔の見定めがつかないし、盲滅法に突いたにしても、腕か手へ怪我をさせるのが精々で、背後から貝殻骨の下へ、三寸も刃物を叩き込むなんてえことは、思いもよりません」
「中仕切の上は」
「細い格子で、人間はもぐれませんよ」
「弱ったな八、鎌鼬は刃物を置いて行くはずはないし、番台には人が居ないにしても、奥から見通しの場所へ、ノコノコ入って来て人一人殺して行くはずはなし、市蔵兄哥はどうして辻褄を合せたんだ――俺には見当もつかないよ――」
三
ちょうどその時でした。
「近江屋の主人――とおっしゃる方が見えましたが」
女房のお静が顔を出します。
「飯田町の近江屋さんだ。お通し申しな」
平次の顔は急に緊張しました。いつも大きい仕事に飛込む前の、不思議な予感が、刃のように全身を走るのです。
「銭形の親分さん、始めてお目にかかります。もう御聞きではございましょうが、たった一人の娘がとんだ災難を受けまして――」
ひどい悲しみに打ちひしがれながらも、大店の主人らしい冷静と品位を崩すまいと骨を折ってるような何となく痛々しい四十五六年輩の男でした。