Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
銭形平次捕物控
一
一
小石川水道端に、質屋渡世で二万両の大身代を築き上げた田代屋又左衛門、年は取っているが、昔は二本差だったそうで恐ろしいきかん気。
「やいやいこんな湯へ入られると思うか。風邪を引くじゃないか、馬鹿馬鹿しい」
風呂場から町内中に響き渡るように怒鳴っております。
「ハイ、唯今、すぐ参ります」
女中も庭男もいなかったとみえて、奥から飛出したのは倅の嫁のお冬、外から油障子を開けて、手頃の薪を二三本投げ込みましたが、頑固な鉄砲風呂で、急にはうまく燃えつかない上、煙突などという器用なものがありませんから、たちまち風呂場一杯に漲る煙です。
「あッ、これはたまらぬ。エヘンエヘンエヘン、そこを開けて貰おう。エヘンエヘンエヘン、寒いのは我慢するが、年寄りに煙は大禁物だ」
「どうしましょう、ちょっと、お待ち下さい。燃え草を持って参りますから」
若い嫁は、風呂場の障子を一パイに開けたまま、面喰らって物置の方へ飛んで行ってしまいました。
底冷えのする梅二月、宵といっても身を切られるような風が又左衛門の裸身を吹きますが、すっかり煙に咽せ入った又左衛門は、流しに踞ったまま、大汗を掻いて咳入っております。