Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

一〇

美しいが淋しい女、丹之丞をお勝の手から取戻して、夢心地に泣いている様子です。

一〇

「これでよかろう、どうだ清左衛門、二品はどこにある」

丹之丞は改めて清左衛門に訊ねました。

「奥方の御側――土蔵の中で、朝夕拝んでおられた、観音像の御厨子の中にございます」

丹之丞も驚いたが、綾野も仰天しました。早速土蔵から御厨子を取寄せて見ると、なるほどその中に納めた観音様の背中に立てかけて、郷義弘の短刀と、家康公の御墨付が隠してあったのでした。

「それは奥方の御存じの事ではございません。当屋敷に巣喰う悪者が、合鍵を作って用箪笥を開き二品を盗んで土蔵の中の奥方の御厨子に隠したのでございます。いかなる智恵者も、御瘋狂という名前で、痛ましくも土蔵の中に閉じ込めておられる奥方の御手廻品までは気が付きません」

「それは誰の仕業だ」

「奥方に一番近い方、時々は御世話を申上げた方」

「何?」

「御免」

清左衛門は丹之丞には答えず、いきなり後ろ手に障子を開くと、抜き討にサッと、縁側の人影へ浴びせました。

「あッ」

大袈裟に斬られて、庭先に転げ落ちたのは丹之丞には遠い従弟で、綾野にはすぐの従兄に当る、針目正三郎の紅に染んだ姿だったのです。